「あうわ」視覚障害者の働くを考える会は
金沢市へ視覚障害者の雇用と生活支援における要望書を提出しました。
要望書と、金沢市からの回答です。
リンクのファイルはPDFファイルです。
回答は段組みになっているためにスクリーンリーダーでは認識しづらいので、テキストで掲載します。
視覚障害者の雇用と生活支援における要望書
金沢市長 村山 卓 様
視覚障害者の雇用と生活支援における要望書
令和7年1月17日
「あうわ」視覚障害者の働くを考える会
代表 林 由美子
私たち「『あうわ』視覚障害者の働くを考える会」は、行政の皆様と共に視覚障害者の就労拡大のための活動を進めさせていただいております。これもひとえに金沢市、ご当局のご理解とご指導の賜であると感謝しております。
金沢市における視覚障害者を取り巻く環境は、就労や職業訓練の環境はもとより日常生活においても、未だ厳しい現状があります。
特に、能登半島地震を経験し、障害者への支援が、全くと言っていいほどなされていないと感じました。災害時の障害者支援を根本的に見直す、よい機会になることを期待します。また、今回は要望として災害時の支援に対する項目もあげさせていただきました。
また、昨年11月7日に開催した「視覚障害者の働くを考える座談会」では、初めての試みとしてワークショップによる視覚障害者の就労支援を考える機会を提供させていただき、ご参加いただいた皆様が、更に理解を深める場となったと実感しております。
今後も行政の皆様には、一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げますとともに、視覚障害者の自立に向けた支援が、さらに拡充することを願い、以下、要望します。
記
災害対応の強化
- 視覚障害者の個別避難計画の作成を急ぐこと。
- 災害時の障害者専用窓口の設置と周知を行うこと。
- 視覚障害者支援団体と災害時連携協定を市として結ぶこと。
- 災害時の障害者支援を円滑に行うため各種支援団体に障害者の情報を公開できるようにすること。
- 障害者に有効な災害用アプリケーションを選定し、健常者を含め広く周知し、普段からの活用を進めること。
医療・福祉の連携
- 眼科医から視覚障害者に対して障害者手帳の申請の案内を徹底すること。
- スマートサイト「ビジョンネット石川」の周知と活用促進を図ること。
- 地域生活支援および生活訓練・歩行訓練の充実を図ること。特に、「中途視覚障害者緊急生活訓練事業」の早急な実施を求める。
生活・情報支援の強化
- 移動支援・同行援護事業の拡充を図ること。
- 移動支援・同行援護のサービス利用時間を拡大すること。
- 本市において代筆・代読支援事業を実施すること。
- 金沢市のLINEポッドに障害者支援を開設すること。
- 情報アクセシビリティの改善や視覚障害におけるデジタルデバイドを生まない施策に、継続的に取り組むこと。
- 視覚障害者への情報提供について十分な配慮を行うこと。
- 視覚障害者のIT機器購入対する支援制度をつくること。
職業訓練、就労支援の充実
- 視覚に障害があっても受けられる職業訓練の体制を確立すること。
- 視覚障害者が金沢市職員として働ける環境づくりを行い、視覚障害者の就労のロールモデルを作ること。
- 「重度障害者等に対する通勤や職場等における支援」を早期に実施すること。
- ヘルスキーパーの採用企業を増やすための周知活動を行うこと。
以上
視覚障害者の雇用と生活支援における要望書の金沢市からの回答
障福第4936号
令和7年5月22日
(2025年)
「あうわ」視覚障害者の働くを考える会
代表 林 由美子 様
金沢市長 村山 卓
(公印省略)
視覚障害者の雇用と生活支援における要望書について(回答)
令和7年1月17日付けで依頼のありました要望事項につきまして、別添のとおり回答します。
福祉健康局障害福祉課
担 当 鈴木
電 話 220-2289
FAX 232-0294
災害対応の強化
- 要望 視覚障害者の個別避難計画の作成を急ぐこと。
回答 個別避難計画は、令和6年度より避難行動要支援者名簿に掲載されている方のうち、土砂災害(特別)警戒区域や浸水深(3m以上)など災害危険区域を優先的に作成しているが、それ以外の区域の方の計画についても今後計画的に作成を進めることとしている。【障害福祉課】 - 要望 災害時の障害者専用窓口の設置と周知を行うこと。
回答 災害時には適宜、障害のある方が相談できる窓口を設置して必要な情報を提供することとしており、障害のある方の安心につながるようその内容や周知方法について検討していきたい。【障害福祉課】 - 要望 視覚障害者支援団体と災害時連携協定を市として結ぶこと。
回答 発災時に障害のある方に必要となる支援やその支援の主体については、地域における防災施策等の見直し内容を踏まえて今後検討していくこととしている【障害福祉課】 - 要望 災害時の障害者支援を円滑に行うため各種支援団体に障害者の情報を公開できるようにすること。
回答 障害のある方の情報については、個人情報の慎重に取り扱う必要があることから、条例に基づき避難行動要支援者名簿として支援者に公開することとしている【障害福祉課】 - 要望 障害者に有効な災害用アプリケーションを選定し、健常者を含め広く周知し、普段からの活用を進めること。
回答 災害用アプリケーションの選定にあたっては、障害のある方もない方も活用可能であることが必要だと考えており、関係機関に対して働きかけていきたい。【障害福祉課】
医療・福祉の連携
- 要望 眼科医から視覚障害者に対して障害者手帳の申請の案内を徹底すること。
回答 石川県眼科医会との関係性を構築し、眼科医から障害者手帳を含めた各種サービスの情報発信をしていくことが効果的であると考えており、関係団体等に対して働きかけていきたい。
【障害福祉課】 - 要望 スマートサイト「ビジョンケアネット石川」の周知と活用促進を図ること。
回答 まずは金沢市視覚障害者協会と協力し、ビジョンケアネット石川との連携体制を構築することが必要であると考えている。
ビジョンネット石川の周知や活用促進に向け、何ができるか検討していきたい。
【障害福祉課】 - 要望 地域生活支援および生活訓練・歩行訓練の充実を図ること。特に、「中途視覚障害者緊急生活訓練事業」の早急な実施を求める。
回答 生活訓練・歩行訓練の充実や中途視覚障害者緊急生活訓練事業の実施においては、事業の受け皿となる金沢市視覚障害者協会の協力は不可欠であり、訓練士など人材の確保などの課題がある。
課題を整理するとともに、他都市の状況を鑑みながら研究していきたい。
【障害福祉課】
生活・情報支援の強化
- 要望 移動支援・同行援護事業の拡充を図ること。
回答 同行援護については国の制度であるため、国の制度改正等の動向を注視しながら、適切に対応していく。
市町村事業である移動支援については、事業者の報酬単価や確保などの課題とも連動していることから、制度の拡充については、金沢市障害者自立支援協議会などを活用し研究していきたい。【障害福祉課】 - 要望 移動支援・同行援護のサービス利用時間を拡大すること。
回答 同行援護について、視覚障害のある方の状態や支援を行う方の状況等に応じて、最大支給量(30時間/月)を超える支給決定が可能な運用とした。【障害福祉課】 - 要望 本市において代筆・代読支援事業を実施すること。
回答 本市は、平成30年度からガイドヘルパーを対象とした代読・代筆者の養成に取り組んでおり、現在は同行援護等の障害福祉サービスに合わせ、代読・代筆サービスの提供をしていただくこととしている。一方で、視覚に障害のある人の一層のコミュニケーション支援は必要であることから、既存制度の周知、活用を図るほか、意思疎通支援事業としての代筆・代読支援の本市における必要性についても、今年度から制度を開始した石川県での事業実施状況等を参考として検討していきたい。【障害福祉課】 - 要望 金沢市のLINEポッドに障害者支援を開設すること。
回答 令和4年5月に施行された障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法を受け、「情報提供推進等専門委員会」を設置し、新たな情報通信機器・情報サービスやICTをはじめとする先進技術を活用した支援策等について協議を行った。それを受け、デジタルデバイドを生まない施策として、令和5年度から、障害種別毎のスマートフォン研修の実施やスマートフォン等の相談窓口を設置している。
SNSを活用した相談支援サービスなどの開設は、障害のある人への情報発信の観点からも有効な手段であると考えており、情報通信機器やICTに精通した障害のある人から構成する検討会を開催し、IT技術の利用促進について協議していきたい。【障害福祉課】 - 要望 情報アクセシビリティの改善や視覚障害におけるデジタルデバイドを生まない施策に、継続的に取り組むこと。
回答 上と同じ【障害福祉課】 - 要望 視覚障害者への情報提供について十分な配慮を行うこと。
回答 視覚障害者への情報提供については、これまでも点字や拡大文字、音声での提供など配慮してきた。今後も必要な情報提供については、可能な限り適切な情報媒体での提供に心がけていきたい。【障害福祉課】 - 要望 視覚障害者のIT機器購入対する支援制度をつくること。
回答 IT機器の購入支援としては日常生活用具給付事業の中でマウスやキーボードなどIT機器周辺の用具を対象に給付している。
IT機器本体の購入支援については、中核市の動向などを注視しながら検討してまいりたい【障害福祉課】
職業訓練、就労支援の充実
- 要望 視覚に障害があっても受けられる職業訓練の体制を確立すること。
回答 視覚に障害がある人の一般就労については、パソコン技術の習得やジョブコーチなどのサポート体制の確保、企業の理解など課題が多い。
職業訓練の体制づくりについては、障害者就業・生活支援センターの職業準備訓練へ紹介することなども含めて国、県及び市視覚障害者協会などと連携し、継続した研究が必要であると考えている。【障害福祉課】 - 要望 視覚障害者が金沢市職員として働ける環境づくりを行い、視覚障害者の就労の口ールモデルを作ること。
回答 金沢市職員になるには、障害のある方についても、障害の種別にかかわらず職員採用試験を受験する必要がある。
視覚障害者の方の採用については、点字試験の実施や採用後の職務内容など課題があると考えており、引き続き他都市の動向等を含め、研究していきたい。【人事課】 - 要望 「重度障害者等に対する通勤や職場等における支援」を早期に実施すること。
回答 重度障害者等に対する通勤や職場等における支援については、障害者雇用を促進する観点から、必要なことであると認識している。
一方では、雇用施策等と福祉施策を組み合わせて一体的に支援するものであることから、受け入れ側である事業者の状況やサービスを提供する事業者の確保などの課題等を鑑みながら検討していきたい。【障害福祉課】 - 要望 ヘルスキーパーの採用企業を増やすための周知活動を行うこと。
回答 平成29年度に、視覚に障害のある方をヘルスキーパーとして雇用している事業所を「金沢市はたらく人にやさしい事業所」として表彰した。当該取組については、「金沢市はたらくサイト」や企業の担当者を対象に開催する「働き方改革セミナー」において、優良事例として紹介するなどしている。引き続き、障害のある方の就労に関する情報について、効果的な発信に努めていきたい。【商工労働課】
以上